2014年7月3日、肝硬変により47歳で死亡した芸人・春一番。
死に至る9年前の2005年。
肝不全で手術を受けたものの回復せず危篤状態になり集中治療室へ。
意識が朦朧としている春一番の前に現れたのは、神と仰ぐアントニオ猪木。
アントニオ猪木は春一番に言葉をかけ、そして喝をいれる。
すると春一番は奇跡的な回復をみせ、テレビに出演するまでの復活を果たす。
という実話を、春一番本人が書き下ろした著書『元気です!!!』(2007年2月20日発行・幻冬社)を読みました。
既にこの世にいない春一番が、生きている時に書いた自らの半生を綴った本書。現在は絶版になっているようですが、私は中古本を購入して読みました。
内容は病床の事だけではなく、高校1年の1学期で中退し、芸人を目指すまでの半生が綴られており、現代では「完全アウト」なエピソードが満載でした。
東京オリンピック開会式で問題になった、某アーティストを思い出したほどに…
まさに芸人道を地で行くような、破天荒で、熱くて、腹を抱えるほど笑ってしまう人生が語られていました。
80〜90年代のプロレス&お笑いが蘇る
私が中学生の時(約30年前)プロレスにハマりまくっていただけに、この本で語られているプロレス関連のエピソードに引き込まれてました。また当然お笑いの話も多く、当時テレビ放送されていた『お笑いウルトラクイズ』の裏話には爆笑でした。
当時のプロレスへの熱狂と、今では完全アウトのお笑い番組の面白さ。80〜90年代のプロレスにハマった人と、当時のお笑いに熱狂した私くらいの世代(現在43歳です)なら、きっと爆笑してしまうであろう話が満載です。
運命を左右したアルコールと薬
お酒って美味しいし、楽しいし、人との距離を縮めてくれる素敵な飲み物ですよね。
春一番は、依存レベルのお酒好きでした。危篤に至る入院の前にも、アルコールが原因の病気を患い、入院や通院を繰り返していたそうです。
それに加えて皮膚の病気が発症。(お笑いウルトラクイズで被ったカレー粉が原因?)
症状を抑える為に飲み始めた薬の副反応(免疫力が低下する副反応)により知らず知らずのうちに悪循環に陥ってしまい、死への道へと進んでしまった様です。
薬の正しい知識を持っていたら…
医師からの説明がされていたら…
もっと早く気づいて対応していたら…
小さな掛け違いが積み重なり、
死に直面するほどの最悪の事態に至ってしまいました。
誰も悪くない、誰のせいでもない。「運の仕業」としか言いようがない。
人生って「運」が左右する要素は大きいですね。
それにしても、薬の知識をちゃんと持っていれば違った人生だったかもしれないと思うと、薬の服用は気を付けなければいけないと思いまし。そして薬剤師さんには、その辺、よろしくお願いしたいです。
芸人という生き方はマネできないけれど
47歳で亡くなるまで、何度も死の淵を彷徨ったり、芸人としてブレークしたり、売れずにどん底に落とされたり…
これぞ芸人人生と言えるほど、激動の人生を歩み、儚く散っていった春一番。
生き方をマネしたいとは思わないですが、「好き」を貫きまっすぐに生きた様は、刹那的なカッコよさを感じました。
40~50代の男性におすすめの一冊です。